熱老化させたCF/PP積層品の層間せん断試験評価

概要


熱老化前後の積層系繊維強化樹脂において、通常の3点曲げ試験では強化繊維の影響により、熱老化による強度および弾性率の変化が明確に見られない場合がある。一方、層間せん断試験では、積層界面のマトリクス樹脂の状態が強く反映されるため、樹脂の劣化と相関のある結果を得ることができる。
CFRP の強度向上には、積層界面の接着強度改善が重要であり、層間せん断試験はその評価に有効な手法である。一例としてCF/PP 積層品の熱老化前後の比較評価について紹介する。



CF/PP積層品の熱老化評価 条件


〈サンプル〉
TAFNEX CF/PP
UDシート積層品
α±45°

上から見たサンプルの配置方向
mcanac

〈熱老化条件〉
初期、
熱老化 80℃ × 500 hr、
熱老化 140℃ × 500 hr

〈試験条件〉
試験片形状 :
20 mm × 10 mm × 2 mmt
試験速度 : 1 mm / min
支点間距離 : 10 mm
上から見たサンプルの配置方向 試験環境 : 23±2℃、50±5 %RH



CF/PP積層品の熱老化評価 結果と考察


熱老化前後のせん断強さと波形比較

mcanac
  • 熱老化80℃ × 500 hrでは、初期品と比較して熱老化後の波形が低ひずみ側にシフトし、みかけの層間せん断強度がわずかに向上したことが確認された。これはPPマトリクスの結晶化の進行を示唆している。

  • 熱老化140℃ × 500 hrでは、みかけの層間せん断強度が大きく低下し、段階的な層の破壊に起因すると考えられる多層せん断破壊の波形が観察された。熱老化によって脆化が進行し、初期品に比べてより小さい変位で初期破壊が発生していることがわかる。

熱老化後試験目視評価 (熱老化140℃ × 500 hr)

mcanac
  • 波形比較および目視評価の結果、熱老化140℃ × 500 hrでは、層間の接着性や樹脂と繊維間の密着性が低下している可能性が示唆される。

  • 層間せん断試験では、みかけの層間せん断強度だけでなく、波形や破壊モード、さらに目視による評価も実施可能である。

層間せん断試験(ILSS) は、3点曲げ試験よりも熱老化後の顕著な変化を確認できる。
加えて、形態観察でボイドの有無や積層状態の観察、熱分析などで結晶状態の確認ができる。





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