概要
エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)は、太陽電池の封止材として最も良く使用されている樹脂である。
架橋前のEVAと架橋後のEVAのパルスNMRを測定し架橋による運動性の違いを比較した。
分析例
パルスNMRによるEVA架橋前後における運動性の比較
試料:エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)
測定装置: | 広幅核磁気共鳴装置 JNM-MU25(25MHz)(JEOL製) |
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測定手法: | Carr Purcell Meiboom Gill 法 |
測定条件: | 90°pulse 2.0μs、繰り返し時間:4s、積算回数:8回 |
測定温度: | 150℃(溶融条件) |
- 減衰曲線図から、架橋による運動性の違いを比較できる
- 架橋後は架橋前よりも減衰が速くなっており運動性が低いことがわかる
- また、減衰曲線を波形分離解析することにより分子運動性の異なる成分の存在比と緩和時間T2(運動性)がわかる。
存在比(%) | T2(ms) | |||
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架橋前 | 架橋後 | 架橋前 | 架橋後 | |
成分-1 | 39.8 | 49.5 | 3.32 | 1.72 |
成分-2 | 39.8 | 37.2 | 20.6 | 14.0 |
成分-3 | 20.4 | 13.3 | 124 | 91 |
分子運動性の低い成分(成分-1)は、架橋後の試料では存在比が多くなり、T2値は小さくなる(T2値が小さいほど分子が動きにくく運動性が低いことを示している)
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